伊藤 徳光(norimitsu Ito)


WMA野外災害救急員-WAFAアドバンスレベル

 

日本空糸株式会社  代表取締役 

 「文明が崩壊しても生きていく力を」これが私の中学時代からの人生のテーマのひとつです。なぜか急に、いまこの場で自分が社会に放り出されたら生きていけるのか。野山に、放り出されたら生きていけるのか。という想いに駆られたことがあります。その日から私は日々を一緒に過ごす両親や先輩方から積極的に学んでいくこと、どんな環境でも自身のための経験として取り込み学び続けることを決めました。

 

 「いまあるものを活かし切ることが出来るか」「それが無い状態で自分は生きていけるか」そういう問を日々自分に問いただす日々が始まりました。置かれた環境下において、その環境で出来ることを最大限行い、将来への布石とするのが私の心情です。

 

 実家では農作業・山仕事を通し神経の通った心身を鍛えてもらいました。それがすべての活動の根本を支えるものであったことを知ったのは、社会人になって10年以上経ってからでした。

 

 学生時代、環境に携わる仕事がしたいという思いから化学を専攻し、特殊産業廃棄物の無害化の仕事をするも、もっと自然の中で仕事がしたいと思うようになり、ロープを使った点検・調査の仕事に転身。今に至ります。実家は山奥にあり、生活排水のために汚れていく自然や、不法投棄まがいのことを目の当たりにして過ごしました。人間が自然と共生していくには足るを知り、己の弱さを認識し、その上で強く生きていく必要があるのだろうなと強く感じています。

 

  特殊な環境下で仕事をする以上、チーム内でのレスキューは必須科目です。幸い、ロープ上での事故にはまだ遭遇していませんが、ロープのハンドリングだけでは救えない状況というのは容易に想像がつきます。自分のロープ技術で行動できる幅が広がってきた頃、WMAと出会い門をたたきました。救急救命の方法を知ってもらうこと、クリティカルシンキングの大切さを知ってもらうことを目的として、社内での必須科目に位置づけ、全員が受講できる体制をとっています。また東北への招致を積極的に行っています。

 

  登山やスノーボード、ロッククライミングを経験するも、純粋なスポーツというのはどうも苦手なようで、トレーニングは農作業、好きな自転車もただ乗るのではなく移動の手段として、人のため生活のために実務をこなすというのが性に合っているようです。

 

  まだまだ理想と現実には差がありますが、私の身につけたものが少しでも人の役に立つのなら伝えていくことが大事であるということ。不完全でもそれを必要とする人がいること。妻をはじめ、多くの友人が教えてくれました。

 

 いまは4歳の子供に、判断する力、自分の心身の使い方、刃物と火とロープの使い方を教えようと、一緒の時間を出来る限り大事に過ごそうと努力しています。

 

  次世代に生きる力を伝えていければと、そう思っています。

 

  趣味は...薪割りとライフハック。

 

 効率化のためにはじめたタイピングがいまでは趣味の一つです。