中村 正雄(Masao Nakamura)


WMA野外災害救急員-WFRプロフェッショナルレベル

 

大東文化大学 スポーツ・健康科学部  教授 

 埼玉県さいたま市(旧大宮市)出身、まだ自然が身近にあって、仲間と一緒に野遊びに全集中して少年時代を過ごしました。中学から大学まではサッカーに執心する毎日でしたが、大学院で野外教育を専攻し、野外の魅力に取り憑かれました。ご縁があって大学教員となり、現在野外系の実習授業や安全教育、救急法などの授業を担当しています。近年の研究テーマは「野外における安全マネジメント」、都市型救急法のインストラクターも30年ほど務めています。

 

 WMAとの出会いは2009年の初冬WAFA@東京八王子、インストラクターのDavid O.R.氏に最初に言われたことは「都市型救急法のことは忘れなさい」、当時はその意味がわからず悶々としていたことを覚えています。都市型救急法は多くの場合、こういうケースではこう対処する、というふうに決められていて、それは教える側にとっても教わる側にとっても(特に講習の場面では)都合のいいことかもしれませんが、野外の実際の場面では一筋縄ではいかないケースも少なくなく、思考もフリーズしがちです。Davidに「こういう場合はどうしたらいいのか?」と質問すると大抵「どうしたらいいと思うのか」と返される。自分で考えることが大事、それがWMAの根底にあることを思い知らされました。当時のノートにも“よい選択とは、利益が危険性を上回るという明確な評価ができるということ”と記してありました。

 

 1年後の2010年にはブリッジコース@OBS長野校に参加、雪上ありナイトシミュレーションありの刺激的な4日間を経てWFRを取得、その後も3回の更新講習をハラハラドキドキしながら受講し、現在に至っています。毎回の講習は内容は勿論ですが、様々なバックグラウンドを有する受講生との交流も自分にとってかけがえのないものであり、今後も気力と体力の続く限り続けていきたいと思っています。

 

  最近気になっているワードで「フェーズフリー」(日常と非日常というフェーズの制約をフリーにする)というものがあります。WMAの考え方は都市部(日常)においても、野外・災害時(非日常)においても善用できるもので、まさに「フェーズフリー」です。都市型救急法のステレオタイプ的な部分、そのよさもあるのでそれは維持しつつ必要に応じてクリティカルにメスを入れる、そんな視座がWMAには感じられます。アンバサダーとして「よいもの」を広めるべく微力ながら頑張りたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。